お役立ち情報発起人たった1人で会社設立!1人社長のメリット・デメリット

2018.01.29


はじめに

「1人で起業する」と聞くと、個人事業主として独立・開業するケースを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、実際はたった一人で会社(法人)を設立することも可能です。今回は、「1人で会社設立」という道を選ぶ前にまずは知っておきたいポイントについてご紹介します。

▼目次

1人で会社を設立すると、1人社長になる?


かつて、株式会社を設立するためには「取締役3名以上」、「監査役1名以上」の就任が必要でした。しかし、会社法の施行(平成18年5月1日)以降は、3名以上必要だった役員も取締役一人でOKになりました。つまり、現在は役員や他の社員がいなくても、一人社長として会社を設立・経営することが可能となったということです。周りでも個人事業主ではなく「会社をおこして、一人で社長をやっている」という方も増えてきたのではないでしょうか。

「1人で会社設立」ができる法人形態は?

会社を設立する方法は1つではなく、形態によりは複数の種類があります。法人形態は、「株式会社」、「合名会社」、「合資会社」、「合同会社(LCC)」の4種類に分けられ、それぞれどのような形態をさすかについては会社法で規定されています。そのうち、発起人一人で設立できるのは「株式会社」、「合名会社」、「合同会社(LCC)」の3つです。これから順番にその中身を説明していきましょう。

「株式会社」は、株式を発行して株主(投資家)から資金を調達し、そのお金で事業活動をおこなう、日本でもっともメジャーな法人形態です。株式会社の設立時に必要な最低人数は1人。役員も1人以上必要ですが、取締役会を設置しなければ取締役は1人でもよいので、結果として株式会社は発起人一人でもつくれることになります。

「合名会社」とは、社員が出資者となり、会社の債権者に対して直接連帯して責任を負う「無限責任社員」だけで構成される会社形態です。会社法施行前は2名以上の無限責任社員が必要でしたが、施行後は一人でも合名会社をつくれるようになりました。

「合同会社(LCC)」は、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルとして導入された、比較的新しい会社形態です。株式会社よりもランニングコストが低く、意思決定スピードが早いことなどから、スタートアップや外資系企業は合同会社との相性が良いと言われています。設立時の必要な最低役員数は社員(出資者)1名。同じく一人で設立が可能です。

「一人で会社設立」ができない法人形態は?

一方、4種類ある法人形態の中で、唯一「一人で会社設立」が不可能なのが「合資会社」です。合資会社とは「持分会社」の1つで、会社の債務に対し出資額までの責任を負う「有限責任社員」と、無制限に責任を負う「無限責任社員」で構成されます。設立時に有限責任社員と無限責任社員が1名以上ずつ必要になるので、計2名以上いないと合資会社は設立できません。

合資会社のメリットとしては、初期費用が抑えられる、設立時の手続きも株式会社に比べると比較的簡単である、決算公告の義務がない、といった点が挙げられます。ただし、発起人一人で会社をつくる場合、最初から合資会社を選択肢には入れることができません。

1人社長が会社経営時に気をつけるべきこと


1人で会社を設立した場合、会社の代表も役員も自分しかいません。社内に相談相手はおらず、すべての意思決定を常に自分自身でおこなうことになります。これは想像以上になかなか大変なことです。「自分1人だから…」と甘く考えていると、ついつい経営者として大事なことを見落としがちになってしまう危険性もあります。そこで、1人社長が気をつけるべきポイントをご紹介します。

1.自分の給料の決め方

たとえ発起人1人で設立した小さな会社であっても、必ず「役員報酬」を支払わなくてはなりません。1人社長の会社の場合、役員も自分自身しかいないので、毎月社長への役員報酬の支払い(固定給)が発生します。

役員報酬は、毎月定額にすれば「経費」としての計上が可能です(この条件を「定期同額給与」といいます)。経費にするには、1年間は支給額を毎月定額で固定する必要があります。役員報酬の金額は自由に設定できますが、高くしたり低くしたりするのはおすすめできません。役員報酬が高ければ社長としての所得税が高くなり、逆に低くすれば法人税が高くなるので、会社の利益とのバランスを見ながら適切な金額を決めるのがよいでしょう。
一般的には、月に百数十万円までは役員報酬にしたほうが節税になるといわれています。ただし、家賃収入などをはじめとする副収入が他にもたくさんある場合は考え方がまた変わってくるので注意が必要です。

2.経費の考え方

1人社長の場合、従業員がいないので基本的に「福利厚生制度」というものはありません。そもそも福利厚生とは、従業員やその家族のためにある制度です。そのため、1人社長のランチ代や旅行代金などは「福利厚生費」として認められにくい傾向があるとされています。

ただし、営業先や取引先との付き合いから飲食代や旅行代金が発生した場合、「会議費」や「交際費」として計上することは可能です。その際は、実態の性質に則した勘定項目を選ぶように心がけましょう。ちなみに、福利厚生の中でも社会保険などの「法定福利」に関しては、1人社長の会社であっても「法定福利費」として経費に計上することができます。

3.社会保険加入について

1人社長の会社でも、健康保険法第3条と厚生年金保険法第9条によって、「社会保険への加入」が義務付けられています。会社設立前にフリーランスや個人事業主として活躍していた人も、国民年金・国民健康保険のままでいることはできません。法人の代表とはいえ、法人から報酬を受けている場合(毎月給与が入ってくる仕組みにしている場合)は、社長も「適用事業所に使用される者」、つまり「被保険者」となるのです。

しかし、一部例外のケースもあります。それは、社長の役員報酬が0円の場合、または報酬額が社会保険料を下回るほど低い場合です。その際は、国民年金と国民健康保険に加入することになります。

4.厚生年金保険について

1人社長が加入する社会保険には、「健康保険」の他にもう1つ「厚生年金保険」があります。厚生年金保険法第9条で「適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金被保険者とする」と定められており、やはりこちらも加入しなければなりません。「保険証は必要だから健康保険には入るが、年金は別に当てにしていないから厚生年金には入りたくない」と思っても、加入義務が発生しているので片方だけは払って片方だけは払わないということはできません。

1人社長でも会社は設立できる!


今の時代、1人で立ち上げるビジネスでも、個人事業ではなく法人としてやっていくことはもちろん可能です。実際、会社を設立するほうが個人事業として働く場合と比べて周囲からのイメージが向上し、取引先の幅が広がりやすく、利益が出れば出るほど、税金面から考えても会社のほうがメリットは大きくなります。将来的に事業の拡大を目指しているなら、発起人1人でも最初から会社を設立することを目指すことも1つの選択肢です。

ただ、1人社長として会社を切り盛りしていく場合、個人事業主よりもさらに強い意志と冷静な判断が必要になってきます。法人としてやっていくからには、社会的なルールの遵守がますます重要になるためです。自分一人の会社とはいえ、「今月は出費が重なったから、会社のお金をちょっと借りよう」、「友達と遊びに行った旅行費用を全部経費で落とそう」などのような軽い気持ちで会社のお金を好きに使ってはいけません。自分のポケットマネーと会社のお金をきちんと区別し、冷静かつ的確な行動を取ることが求められます。

社内に「他人の目がない」という状況は、1人社長のメリットであり、同時にデメリットでもあります。1人の経営者として自覚を持ち、自分自身を強い意志で律することができる人なら、1人社長として会社を設立することにはメリットが感じられるかもしれません。


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