はじめに
税理士への依頼は単発のスポット依頼もありますが、法人の場合、顧問契約を結ぶのが一般的です。しかし、顧問契約を結ぶと定期的に料金が発生し、高額な料金がかかりそうなイメージもあるのではないでしょうか。そもそも税理士の顧問契約とは何かということから、顧問料の相場、顧問契約をするメリットについてみていきましょう。
▼目次
税理士の顧問料の相場や内容は?
税理士と顧問契約を結ぶと、決算申告などとは別に、月々の顧問料が発生します。顧問契約の内容と、相場について確認してみましょう。
1.税理士の顧問契約とは?
税理士の顧問契約とは、会社が税理士に長期的に仕事を依頼する契約のことです。税理士以外の職種でも、弁護士や司法書士、社会保険労務士など士業は顧問契約があります。顧問契約では、税理士などの専門家が事業をサポートしてくれると考えるとわかりやすいでしょう。
それでは、税理士の場合、顧問契約を結ぶことでどのようなことを税理士に期待できるのでしょうか。まず、スポット契約では決算申告の時期のみでの確認だったものが、顧問契約によって定期的な企業会計の確認へと変化します。
もちろん、どのような契約を結ぶかによりますが、税理士が企業の状況を把握しやすくなるため、会社が財務状況を改善するためのアドバイス、節税に関するアドバイスなど、より詳細なアドバイスを受けることが可能です。税理士事務所によって、その他さまざまな相談ができることもあります。
なお、顧問契約を結ぶと確定申告や決算報酬とは別で顧問料という料金が発生することに注意しましょう。顧問料は、個人か法人かでもかかる費用が変わってきます。
2.法人の税理士顧問料の相場
法人の場合、税理士の顧問料は会社の売上がどのくらいあるか、税理士の訪問の頻度をどのくらいにするかで変わってきます。たとえば、年間売上1,000万円未満の小規模な会社で、訪問回数を半年に1回とした場合の顧問料の相場は、月々15,000円。
顧問料は税理士事務所によって変わってきますが、少なくとも月に15,000円以上はかかると想定していた方が良いです。仮に、同じ売り上げで毎月訪問をお願いすると、顧問料の相場は25,000円以上になります。
会社の年間売上1,000万円未満は極端な例ですが、通常の会社の売上が5,000万円から5億程度が多いことを考えると、月々の顧問料は50,000円程度が妥当です。
3.個人の税理士顧問料の相場
個人が税理士に顧問をお願いするのは、個人事業主として事業を行っている場合です。まず個人事業主の場合、法人よりも売上が少ない傾向にあるため、その分税理士顧問料の相場も法人と比べ下がっています。
年間売上1,000万円未満で、半年に1回の訪問の場合、毎月10,000円からが相場です。半年ではなく、税理士の訪問の回数を毎月に増やした場合の顧問料の相場は、毎月20,000円ほどになります。税金の関係で、年間売上1,000万円を超えると法人にした方がお得なので、1,000万円未満の個人事業が多いことを考えると個人の月々の顧問料は10,000~20,000円程度が妥当でしょう。
なお、個人であっても法人であっても、税理士に記帳までお願いする場合は、月々の顧問料にプラスして料金が発生します。仕訳の数などにもよりますが、プラス10,000~30,000円は記帳のための報酬として考えておくべきです。
税理士へ、記帳を含めた顧問契約を考えている場合は
☑ 企業会計を含めさまざまな相談ができる
ビマケの「ビジネスなんでも相談窓口」を無料でご利用いただけます
顧問料が高額になるのは?料金の決まり方とは
顧問料は、法人で月々50,000円ほど、個人で10,000~30,000円ほどが相場だと紹介しました。年間にすると12~60万円にも上ります。なぜ、ここまで顧問料は高額なのでしょうか。税理士の顧問料の決まり方を5つの視点からみていきましょう。
1.会社の売上はどうか
顧問料の決定に大きくかかわるのが、会社の売上です。会社の売上が大きければ大きいほど、顧問料も高額になる傾向があります。理由は、単純に売上が大きければ、取引数も多くなるため。その分、税理士が確認する時間など負担が増えるので、会社の売上に比例するように、顧問料も上がります。
また、取引数だけでなく、会社の売上が上がるということは、それだけ納税額も増えるということ。納税額が上がれば、ミスがあった場合の税理士の責任は重くなります。取引数、責任の大きさから、会社の売上に応じて顧問報酬が高くなるのです。
2.訪問回数をどうするか
税理士の会社への訪問をどうするかも、税理士の顧問料に影響を与えます。訪問回数が多いほど、税理士がその会社に割く時間が多くなるためです。会社の売上で税理士の顧問報酬は変わると紹介しましたが、同じ売り上げでも顧問料が変わってくるのは、訪問回数の設定が影響しているためでしょう。
訪問回数は税理士事務所によって変わってきますが、半年や毎月など、設定する回数で数万円顧問料が変わることもあります。お得に顧問契約を結ぶなら訪問回数は少ない方が良いですが、どこまで税理士のサポートを受けたいかでも変わってくるので慎重に検討した方が良いでしょう。
3.作業量はどのくらいか
作業量による顧問料の加算は、顧問契約と合わせて記帳をお願いする場合にかかわってくるものです。顧問料は会社の売上で決められることが多いですが、記帳は実際の作業量で判断されます。100仕訳で月々10,000円加算など、会計ソフトに入力する仕訳の数に応じて料金が加算されていきます。
法人の場合は経理担当者を設置して仕訳が必要ないこともありますが、個人事業主など記帳まで依頼する場合は注意しましょう。
4.相談などオプションで上がることも
それぞれの税理士事務所で提供されているサービスは異なります。年末調整の代行をサービスとして提供しているケース、補助金の相談を受け付けているケースなど、さまざまです。しかし、こうした特別な相談は顧問契約を結べば自由にできるというものではなく、オプションで費用が加算されることがあります。
5.難易度の高いものは加算される
難易度加算といって、売上や訪問回数とは別に、特別な知識が必要な業種、短期間での依頼など、内容によっては顧問料が割り増しされることがあります。たとえば業種でいえば医療や中古車販売業など。税理士事務所の料金表では難易度加算によってどのくらい加算されるかわからないので、先に見積もりを取ってもらった方が良いです。
税理士の顧問は本当に必要か?
なぜ、高額な顧問料を払って、法人や個人で税理士に依頼する人が多いのでしょう。税理士との顧問契約は本当に必要なのでしょうか。
一般的に、税理士との顧問契約では以下のようなメリットがあります。
・財務や税務のリスクを回避できる
・資金調達などに役立つ
決算申告のスポット依頼でも、財務や税務のリスク回避、節税はある程度は行えるものの、会社の実情が顧問契約を結ぶ場合よりも把握しづらい状況にあるため、スポットで契約するよりも効果が期待できます。資金調達については、貸借対照表など必要書類の作成の際に税理士によるサポートを期待できるという点でメリットがあるでしょう。
反対に、税理士の積極的なサポートが必要ないほど、社内で会計業務が円滑に進んでいるのであれば、顧問契約にこだわる必要はないでしょう。
まとめ
税理士との顧問契約は、メリットもありますが、どうしても高額になりがちです。税理士との契約を考えるなら、本当に顧問が必要な状態か十分に検討してからの利用をおすすめします。
税理士との契約にお悩みの方は
☑ ビマケの「ビジネスなんでも相談窓口」を無料でご利用いただけます